私と君の競泳水着交換 その1「はじめての交換」

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とある日の水泳部の練習が終わった男女二人。
彼らは同じ高校で日々水泳のタイムを競い合っている部活仲間だ。
男子の名は優希。女子の名は梨夏である。
二人は同学年。高校二年生の仲の良い同級生だ。

そんな優希と梨夏は学校からの下校を共にし、現在は梨夏の自宅の彼女の部屋に二人きりでいる。
二人の会話のやりとりを少し遡ってみようか。

「今日は一段と暑かったな。プールの水が心地よかった」
「そうだねぇ。水泳日和ってやつだよね。日も照ってたし一気に日焼けしちゃうかな~」
「そんなこと心配するぐらいまだ余裕あるの?俺すごい疲れた」
「今日いいタイム出たんだよね。なんか気分良いしこの後どっか行かない?」
「だから俺疲れたんだって~。キミ彼女でしょ、彼氏労わってよ」
「ん?じゃあ私ん家来て休みながら話でもする?」

そんなこんなで優希は梨夏の自宅に誘われた形だ。
学校のクラスメートや部活仲間には内緒にしているのだが、二人は水泳という共通の趣味を持った高校生カップルなのだ。

優希が梨夏の自宅に招かれたのはこれが初めてのことではない。
学校の授業が終わり放課後の水泳部の練習も終えたその後、二人の都合が合い共に下校する日のその帰り道、梨夏の自宅が優希の自宅の通過点であることもあり、度々梨夏が優希を家に誘ってくるのだ。
彼らの出で立ちは制服に学生カバン。そして部活で使用した水泳道具をバッグに入れ、髪は半乾きのままで電車に乗り帰路につく。

場面は梨夏の部屋に戻り。
他愛のない話題のやりとりを一通り終え、会話が途切れ場が静まったところで一呼吸置き梨夏が口を開いた。
「……あのさ。あのね、……ちょっとでいいんだけど。えっとね……」
「ん?どうかした?」
「んん……あのね、私前から気になってたことあって。えっと、君の水着、競パンだよね。私のは競泳水着でしょ。でさ……」
「??」

「……ちょっと今だけ交換してみない?君と私の」
「何を??」
「…………水着。」

その提案は唐突だった。
優希は目が丸くなっている。彼女が発した提案の意味を受け止めきれていないようだ。

「……なんで?」
「ん。だって……羨ましいから。君の競パンが」
「??何で俺の競パンが羨ましいんだ?」

優希は梨夏を不思議そうに見つめ言葉を投げる。

「カッコいいから。私も穿きたい」
「……交換したら俺は梨夏の競泳水着着るの?」
「そう」

優希は一瞬驚いた表情をした。
しかし梨夏の真剣で切実な顔を見やると、何やら考える顔つきをしだした。

梨夏は物欲しげな眼差しで優希を見つめている。
優希は数秒の時間をかけた後、梨夏を見つめ直し言葉を発した。

「……梨夏がそうしたいんなら。別にいいんじゃないかな」
「え、いいの?競パン貸してくれる?君は競泳水着着てくれる?」
「うん……別に構わないけど男が競泳水着着ても面白くないんじゃないか?」
「そんなことない、君なら絶対似合うよ、すごく見たい……!」
「……梨夏の競パンも気になる」

そんな訳で優希と梨夏はお互いの水着を交換することとなった。

挿絵